手織り工房　のろぼっけ

	母からのメッセージ

「展示会を」　とお声を掛けていただき 風の庵に立ったとき、
なぜか「カズ・スズキの個展を」と強く心に感じました。
翌日のミーティングでスタッフ全員が同じ思いであったことに
不思議な感動をおぼえました。

彼の作品が織り上がると教室の壁にかざります。
あたたかくて　やさしくて　そして、たくましい。
人の心をとらえ、気持ちをおだやかにしてくれる独特の
空間が生まれます。

彼が天才だからこのような作品が生まれるのだとは思いません。
日常生活の中で助けがなければできないことがたくさんあります。
歯みがき、ひげそり、お風呂で体を洗うことなどもそうです。
たとえば自分で電気かみそりでひげを剃ると、皮がむけ血がにじむ
まで同じところばかり剃り続けます。
あめもガムも口に入るとすぐのんでしまうように、食べ物はほとんど
噛まずにまる飲みしてしまう状態です。

彼なりに一生けんめいなのでしょうが・・・。

毎日毎日　何十年も変わりません

「どうして出来ないの」
私たちも 毎日心の中で葛藤してきました。

きっと 彼の心のさけびは
『ボクはみんなと同じようにはできないんだようー』と。
それが この作品なのでしょう。
しかしそれ以上に私達に伝わってくるものがあるような気がしてなりません。
おそらく、それが 彼の生かされていることへの
心からの感謝なのではないかと思うのです。

その気持ちを伝えたい。

日頃お世話になっている方々をはじめ、克弘を受け入れてくれている
世の中のすべての方々へ。

近くから、そして遠くからささえて下さる皆様にこの場をおかりして厚く御礼
申し上げます。

2008年4月吉日
母　鈴木利子拝